読めば納得 生命保険の仕組み |
17.保険金・年金・給付金と税金について(個人契約の場合) |
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個人が保険金(一時金)や年金を受け取った場合、契約者(保険料負担者)、被保険者、受取人が誰であるかによって税金の種類(所得税、相続税、贈与税)が異なってきますので、注意が必要です。
@死亡保険金と税金について
1)相続税の課税対象となる場合
(ア) 相続人が受け取った場合
契約者(保険料負担者)と被保険者が同一人の場合の死亡保険金を、被保険者の相続人が受け取った場合は、相続税の課税対象となります。
しかし、死亡保険金は、残された家族の生活保障という大切な目的をもった財産になりますので、税法上一定の金額が非課税となる特典が認められています。
なお、受取金額がこの非課税限度を超える場合のみ、その超過額が他の財産と合算されて相続税の課税対象となります。
死亡保険金の非課税財産=500万円×法定相続人の数
(イ)相続人以外の者が受け取った場合
死亡保険金を被保険者の相続人以外の者が受け取った場合は、遺贈によってもらったものとみなされ相続税の課税対象となりますが、非課税の特典はありません。
したがって、死亡保険金の受取人は相続人であることが税法上有利だといえます。
2)所得税の課税対象となる場合
契約者(保険料負担者)と受取人が同一人の場合の死亡保険金は、一時所得として所得税の課税対象となります。
一時所得とは、一時的性格の強い所得で、しかも労働や資産譲渡の対価としての性格をもたないものをいいます。
一時所得の金額=(収入−必要経費)−特別控除
特別控除の額は、(収入−必要経費)が50万円までの場合はその全額、50万円を超える場合には一律50万円となりますので、(収入−必要経費)が50万円以内の場合には税金はかかりません。
そして一時所得の金額の1/2がその年の他の所得と合算され、所得税の課税対象となります。
よって、死亡保険金の場合、課税対象となる一時所得の金額は、
{(死亡保険金−正味払込保険料)−特別控除}X1/2
になります。
3)贈与税の課税対象となる場合
契約者(保険料負担者)と被保険者が異なり、契約者以外の人が死亡保険金を受け取った場合は、贈与税の課税対象となります。
贈与額には保険金のほか同年中に受けたすべての贈与が含まれます。
贈与税の計算は、
贈与税の課税対象額=贈与額−基礎控除
になります。
基礎控除の額は、贈与額が110万円までの場合はその全額、110万円を超える場合は一律110万円となりますので、110万円までの贈与であれば税金はかかりません。
親(被相続人)から子である推定相続人に財産を贈与した場合、贈与税相当額を相続税額から控除することができる「相続時精算課税制度」が創設されました。
A満期保険金と税金について
1)所得税の課税対象となる場合
契約者(保険料負担者)と受取人が同一人の場合の満期保険金は、一時所得として所得税の課税対象となります。
一時所得の計算方法は、死亡保険金の場合と同様です。
なお、保険期間5年以下の一時払養老保険などについては、満期保険金などと既払込保険料との差額に対して利子所得同様の課税方式がとられ、一律20%の源泉分離課税となります。
2)贈与税の課税対象となる場合
契約者(保険料負担者)以外の人が満期保険金を受け取った場合は、贈与税の課税対象となります。
贈与税の課税対象額の計算方法は、死亡保険金の場合と同様に贈与税の課税対象額=贈与額−基礎控除となります。
B年金、死亡給付金と税金について
1)年金と税金
個人が年金を受け取る場合、毎年支払いを受ける年金は、すべて雑所得となり、所得税の対象になります。
ただし、契約者と年金受取人が異なる場合には、年金支払い開始時に年金を受け取る権利(年金受給権)に対して贈与税がかかり、毎年受け取る年金に対しても所得税(雑所得)がかかります。
2)死亡給付金と税金
年金の支払い開始前に被保険者が死亡し、死亡給付金が支払われると、受取人の関係によって、相続税、所得税(一時所得)、贈与税の課税対象となります。
・相続税の対象となる場合について
契約者(保険料負担者)と被保険者が同一人の場合、死亡給付金は相続税の対象となります。
この場合、死亡保険金と同様、被保険者の相続人が受け取った場合は、税法上一定の金額が非課税となる特典が認められています。
・所得税の対象となる場合について
契約者(保険料負担者)と死亡給付金受取人が同一人の場合、死亡給付金は一時所得として所得税の課税対象となります。
・贈与税の対象となる場合について
契約者(保険料負担者)と被保険者が異なり、契約者以外の人が死亡給付金を受け取った場合は、贈与税の課税対象となります。
C給付金と税金について
身体の傷害を原因として支払いを受ける高度障害保険金(給付金)や障害給付金などは、被保険者本人が受け取る場合はもちろん、被保険者の配偶者や直系血族あるいは生計を一にするその他の親族が受け取る場合も非課税となります。
これは、こうした保険金や給付金が、ケガをしたり長期に入院した場合の経済的保障に役立っているからです。
D保険金課税と役割について
このように生命保険の保険金は、所得税、相続税、贈与税の課税対象とされますが、実際に課せられる税額は契約形態(契約者、被保険者、受取人の関係)により大きく違ってきます。
そこで、次のような注意が必要となります。
保険金の種類や契約形態によって保険金への課税に大きな違いがありますので、よく理解することが必要です。
家庭の事情の変化や既契約の内容などにも注意を払い、必要に応じて契約形態(契約者や受取人)の変更をすることも必要です。
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